「大阪国際児童文学館と大阪府立図書館を考える集い」集会アピール

大阪国際児童文学館と大阪府立図書館を考える集い」集会アピール


 橋下府政のもとで多くの文化施設や専門情報機関が廃止・縮小に追い込まれ、府民の生活に潤いを与える文化の拠点や府民の情報アクセスの経路がひとつ、またひとつと閉ざされているなか、大阪府立国際児童文学館、そして大阪府立図書館が危機に立たされています。


 児童文学館の廃止・移転問題では、現地存続を求める多くの署名・要望が寄せられ、昨年の9月府議会においては「当面の存続に関する請願書」が全会一致で採択されました。にもかかわらず、大阪府はそれらの意見に耳をふさぎ、議論を尽くさぬまま、この2月府議会に「廃止のための条例案」と「府立中央図書館への資料移転のための予算案」を提案しようとしています。

 児童文学館は、開館以来25年、児童文学や文化の資料収集・研究・情報サービス機関として大きな役割を果たしてきました。網羅的に収集した資料を確実に保存し、それをベースにした調査・研究成果を還元し、信頼を勝ち得てきたからこそ、多くの個人・出版社が資料を寄贈し続け、現在の70万冊にのぼる日本で随一、世界に誇るコレクションが作り上げられたのです。

 保存・研究が中心である児童文学館は「図書館」ではありません。児童文学館と図書館は根本的に機能・役割が異なります。それぞれがその機能を存分に発揮し、補い合うときに最大の効果が生まれるのです。児童文学館の機能の一面だけを見て、府立図書館へ統合することは、児童文学館本来の機能と役割を破壊し、その命脈を絶つものであるといって過言ではありません。


 一方、児童文学館の資料の受入先とされている府立図書館も、「大阪版市場化テスト」の対象業務とされ、府民の意見を聞くこともなく、民営化に向けた検討が急ピッチで進められています。

 図書館は、知識・情報へのアクセスをすべての府民に保障する、まさに「知のセーフティネット」というべき極めて公共性の高い施設であり、絶対に民営化にはなじみません。

 加えて府立図書館は、府域における「図書館の図書館」として、市町村図書館を支援し、図書館相互のネットワークの維持・充実を図ることで、府内全域の図書館行政、図書館サービスの向上を図る重要な役割を担っています。そして100年かけて蓄積してきたノウハウが失われれば、それは二度と取り戻すことはできません。万が一府立図書館が民営化されるような事態となれば、府内そして全国の公立図書館に大きな影響を与えることは必至です。


 児童文学館は、約30年前に12万点におよぶ鳥越コレクションの寄贈を受けて誕生し、一方の大阪府立図書館は、約110年前に住友家から図書館の建物および図書購入基金の寄付を受けて設立されました。「民」が最初の基礎をつくりましたが、将来にわたって継続してこれを運営し、発展させていくのは「公」の仕事であり、「公」が行うのがふさわしいという思いがあったからこそ、公に託されたのではないでしょうか。寄贈者が蒔いた最初の種は、公が精一杯努力し、府民とともに大切にはぐくむことで、30年、100年を経た今、府民に豊かな恵みをもたらす木に育ちました。この大阪府が誇るべき財産を、公が打ち捨ててしまうことは決してあってはなりません。

 わたしたちは、児童文学館の現地存続を強く求めます。そして府立図書館の民営化につながる市場化テストの導入に反対し、再考を強く求めるものです。


 2009年2月15日

「大阪国際児童文学館と府立図書館を考える集い」参加者一同