大阪府庁ワークシェアリングについての府職労見解 

1月21日、太田知事は定例記者会見で、来年度から府職員の時間外勤務手当を削減し、それを財源として若年者を非常勤雇用することを明らかにしています。
これは、大阪府、大阪労働局、関西経営者協会、連合大阪の四者で構成する「大阪雇用対策会議」が昨年9月に策定した「12万人緊急雇用創出プラン案」のなかで、「大阪府独自の雇用創出方策の構築による雇用創出で3万人」としているうちの府庁内ワ-クシェアリングと位置づけられるもので、事業費1・6億円、100人雇用。対象は、大阪府在住、正規職員未経験、18~21歳のハローワークに求職登録者とし、雇用期間は今年6月から来年3月までの10ヶ月間。週4日間を府庁の仕事に従事してもらうなかで、民間企業への常用雇用に役立つ経験を積み、あと1日を求職活動に充てて雇用期間の間に正規社員への就職にむけた活動に取り組んでもらうことで若年者の雇用創出をはかりたいとしています。

雇用確保を求める運動と要求が、「若年者の就職支援」実施に踏み切らせた

大企業のリストラ強行、膨大な中小企業の倒産と大量の失業者が生み出されている中、若年層の雇用・失業問題は、きわめて深刻な事態となっています。国が、厳しい雇用失業情勢を踏まえ、緊急応急の措置として「緊急地域雇用特別交付金事業」を創設し、都道府県段階では、北海道、青森県、秋田県、兵庫県などが「交付金」を活用して、自治体独自の雇用・失業対策としての「ワークシェアリング」実施が相次いできています。その内容は、新卒高校生の雇用創出、30人学級実現の教職員採用、臨時の非常勤職員の採用など自治体が直接雇用者を拡大する施策のほか、民間企業への助成金の交付や自治体の雇用対策基金の創設など様々です。
また、労働総研も、「雇用・失業対策の拡充こそ最良の景気対策」、「肥大化している公共事業の支出に代えて、雇用・失業対策関係の予算を大胆に拡充して雇用拡大をはかること」、「未就業青年も含めて、就業体験を積ませ、職業教育を実施し、臨時雇用から就職できるように支援すること」などを提言しています。(2002年12月「公的雇用創出のための政策宣言」)
昨年9月に厚生労働省が発表した来春高校卒業予定者の有効求人倍率は、0・5倍、大阪では0・84倍と深刻な状況です。そのもとで府立高校教職員組合が、「高卒予定者緊急雇用」措置を求め、①高卒予定者の緊急雇用枠を各企業に要請すること ②府として具体的な緊急雇用を含めて実現することなどを要望されてきました。昨年9月府議会でも取り上げられ、太田知事が「高校卒業生の就職促進を含め、府民の雇用確保の視点から府独自の雇用創出計画を策定する」と答弁していました。このような運動と要求が、今回の「若年者の就職支援プログラム付き雇用」の実施に踏み切らせたものです。

正規職員の雇用確保と時間外勤務の縮減、サービス残業の根絶を

自治体で実施されている「ワークシェアリング」の問題は、その財源として自治体の厳しい財政状況を口実に、安易に「職員の賃金カット」や「時間外勤務手当のカット」などで捻出する、いわゆる「賃下げによるワークシェアリング」の動きが強まっていることです。
「ワークシェアリング」は、そもそも、一人一人の労働時間を短縮して、その短縮された労働力分で新たに雇用を拡大する「仕事の分かち合い」を実現することによって、労働者の労働時間の短縮を実現するとともに、所得の再配分の実現で人間らしい労働と安定した雇用を作り出そうとする政策です。
府職労は、かねてから時間外勤務を削減し、正規職員を雇用することを要求してきました。今、大阪府に求められているのは「公的就労機会の拡大」や景気対策の拡充を具体化すること、予算を確保して雇用対策を強化することです。
「自治体のワークシェアリング」は、総人件費の削減と、雇用の流動化・不安定化を推進する手段として活用するものでないこと、さらに住民サービスを切り捨てる自治体リストラ、自治体の市場化・民営化の推進の道具として実施するものでないことを当局は明確にすべきです。同時に、自治体の雇用・失業対策としての「ワークシェアリング」は、自治体労働者の労働条件に深く関わる問題であり、労使による「協議」が大前提にされなければなりません。
今回の「府庁ワークシェアリング」に対して、「これで時間外勤務が削減・解消されることが保障されるものではない」、「むしろサービス残業が増大されるのではないか」、「時間外勤務手当予算を財源にすることで、職員が時間外勤務をしても予算がないことを理由に、時間外勤務手当が支給されないことになるのでは」と危惧する声もあります。当然そういったことは、あってはならないことです。
府職労は、当局に正規職員の雇用拡大と、時間外勤務の削減・解消、サービス残業根絶を求めるとともに、職場からの取り組みを強めるものです。

●「緊急雇用対策大阪府庁 LIVE WORK シェアリング事業」
1 目的
職員の時間外勤務手当を削減し、それにより生み出された財源を活用して厳しい雇用環境にある若年者を非常勤嘱託として雇用するワークシェアリングを実施する事業であり、若年者に今後の民間企業での常用雇用に役立つ経験を積んでもらうとともに、ワークシェアリングに関する民間企業の取組みを奨励するもの

2 採用人数 100名程度(うち身体障害者5名以上)
(このような事業スキームで、身体障害者特別枠を設けるのは全国初)

3 採用対象者(受験資格)
昭和56年4月2日から昭和60年4月1日までに生まれた人で、以下の要件を全てみたす者(学歴・国籍不問)
(1)大阪府在住 (2)正規職員未経験者 (3)ハローワークに求職登録している者
なお、採用に関する詳細は、採用選考案内(3月末)において示す。

4 雇用期間  平成15年6月から平成16年3月まで、10ヵ月程度(更新不可)

5 勤務時間・給与  週30時間 給与は高卒初任給を基礎に換算

6 募集方法等  平成15年4月より募集を行い筆記試験及び面接試験により採用選考する。

7 スケジュール
4月上旬 募集 応募書類の受付
4月末~5月上旬 採用試験(筆記・面接)
6月上旬 各所属に配属

スキルUP研修機会・就職活動支援

3月末 雇用期間満了

8 就職支援
府での、スキルUPのサポートとともに、労働局との連携により、常用雇用の就職に向けた活動の支援等を行う。(労働局との連携による就職支援を行うのは全国初)

9 予算額
1億6,007万円(その他の経費含む)

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