指定管理者制度で「公の施設」はどうなる

政府は地方自治法の一部改正(〇三年六月公布、九月二日施行)しました。このなかで「公の施設」(公園や道路、保育所や児童館、福祉会館、体育館や図書館など住民福祉の増進を目的に自治体が設置する施設)に関わる規定を改正しこれまでの管理委託制度に代えて「地方公共団体の指定を受けた指定管理者が管理を代行する」という指定管理者制度を導入しました。
これまで「公の施設」の管理は①地方公共団体の出資法人のうち一定の要件(五十%以上の出資等)を満たすもの(土地改良区等)②公共的団体(農協・生協等)にしか委託できなかったが、指定管理者制度では議会で議決されれば「指定管理者」対象に特段の制限はなく、株式会社などの民間事業者が「公の施設」の管理を代行することを可能にしました。

地方独立行政法人とも連動

総務省は「地方独立行政法人等の公布について」の通達のなかで「公の施設の指定管理者制度の活用等と比較検討し」と述べ、どちらの手法がより適切かよく検討して具体化を図るよう指示しています。既存の施設であっても「公の施設の管理状況全般について検討し指定管理者制度を積極的に活用されるよう」と指示し、「社会福祉施設における指定管理者制度の活用について」の厚生労働省の通達も出されています。さらに公務を民間に開放する上での法の制限を取り払い一層推進する一括法を次期通常国会に提出しようとしています。

究極のリストラ

内閣府は、「地方の行政サービスの外部委託化に関する調査」を指示し、何が外部委託化の阻害要因か法令・通達・資金・組合関係など例示して回答を求め、その結果を踏まえ経済財政諮問会議で必要な方策を検討するとしています。これらは90年代の「臨調・行革」による各個撃破型の民間委託から特定分野(許認可・規制など)以外は丸ごと民営化する究極のリストラであり、地方自治・自治体のあり方を変質・解体するものです。

大阪府・市町村の動向

大阪府では「府行財政計画案」の前倒し・さらなる改革の中で「指定管理者制度の検討」を追加し、今年4月実施を含め具体的作業が進められています。「大阪府立体育会館は、スポーツ施設運営のシンコースポーツに委託」が報じられています。また、大阪府立香楠荘は運営を千早赤坂村に移管していますが、同村はさらに「杵屋」に委託。大阪市は青少年活動支援施設(今年2月開館)、和泉市は共同浴場(昨年12月オープン)に同制度を適用する条例を制定しています。

この制度によってどんな問題が生じるか

①住民の施設利用にあたり、平等・無差別の原則、使用料が無料若しくは廉価、住民意志反映、プライバシーの保護が守られるか②議会の関与が形骸化されると共に兼業禁止規定の不適用による不正・癒着③「価格競争」にさらされる中で人件費削減・雇用の不安定化④これまで管理受託してきた公共団体・出資法人労働者の雇用と労働条件が確保させるのか等の問題が生じる恐れがあります。

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