大阪版市場化テスト第2弾に対する府職労声明

大阪府では、業務を民間開放する手法として、府民サービスの向上と行政のスリム化・効率化を進める目的で大阪版市場化テストを実施しています。
大阪版市場化テスト第2弾として、大阪府は08年3月から約3か月間、府の業務全般を府ホームページに掲載して民間事業者から提案募集し、106件の提案を受けました。これらについて「提案者のノウハウに関するため非公開」を理由に、10月中下旬に5回にわたり市場化テスト監理委員会(以下「監理委員会」という)が非公開で開催され、12月2日第11回「監理委員会」において、9業務を対象業務に選定しました。大阪府は、「同委員会で十分検討がなされたものであり、かつ、公共サービスの質の向上と効率化に資するものと考えられる」として、監理委員会が選定した対象業務について職場合意を行わないまま、12月17日対象業務に決定しました。
これまで、府職労は、ガイドライン策定(05年6月)にあたり、①条例化など法的根拠がない、②民間手法では利益優先になる、③第三者機関の権限が大きく執行機関の意思や議会の関与が排除され公正な委員選出や民主的運営が担保されない、④専門性やノウハウの継続性がなくなる、⑤コスト追求で不安定雇用労働者を増やすとともに府職員の雇用・労働条件に影響が出るなど問題点を指摘し、市場化テスト撤回を大阪府に申し入れを行い、市場化テスト本格実施(07年1月)においても、同様の申し入れを行ってきました。しかし、これら申し入れに対し、府当局はなんら誠意ある回答を行わないまま、府業務全般を民間に丸投げしようとしています。
このねらいは、「業務の委託化」による大幅な人員削減と、「50兆円市場」と言われる公務公共事業の民間市場への開放により、民間業者を儲けさせることにほかならず、道州制を見越した「大阪府解体」に向けた大バーゲンセールであると言っても過言ではありません。
今回、監理委員会が市場化テストの対象業務「適」とした「税務業務」は、府税の窓口業務から、課税事務、督促、催告などの納税事務まで大部分の税業務を民間に解放しようとするものです。情報の宝庫といわれる税の個人情報(課税、滞納、財産状況など)が、府民や納税者の知らないうちに民間事業者に渡され、この結果、債権回収会社などから休日や夜間に突然電話や訪問催告を受けるなど、府民の権利が侵害されたり、個人情報が別利用されたりするようなことが起こりかねません。
また図書館は、読書傾向という、思想・信条に関わる非常にデリケートな個人情報を把握しうる施設で、社会的に対立する論点に対する資料をも分け隔てなく収集し、無料で利用できるようにしています。もし民間開放されれば、こういった住民の知る権利や生涯学習の保障という目的が達せられなくなるおそれがあり、日本図書館協会の見解や、昨年6月の社会教育法等改正時における衆参文教関係委員会の附帯決議でも警鐘を鳴らしています。
すでに公務の市場化は、公立保育園を民間委託したケースにみられるように、企業は「企業秘密」を理由に市の職員の査察を拒否したり、行政も従業員全員が一年契約社員というような労務管理をチェックできなかったり、議会も「民間事業者の企業秘密まで情報公開条例に該当しない」として必要な情報を入手できない、という問題が起こり、さらには業者が経営難を理由に突然撤退する事態が発生する、など民営化による「公的責任」の破壊の実態があちこちで明らかになっています。
現行の入札制度のもとでは、委託時の低い委託費が、再委託の際にはさらにダウンが予測され、そこに働く労働者の賃金ダウン、生活破壊につながるなど、官製ワーキングプアを生み出すことにもなります。有期限の使い捨て労働が拡大し、知識や経験など専門性が失われ、行政水準が低下するとともに、少子化で労働力不足なのに労働者の力が有効につかわれないという不合理な事態がひろがります。民間委託の問題は、すでに耐震偽装事件やふじみ野市営プールの事故など、住民のいのちと財産を守れなかった実態が起こっており、その問題は顕著となっています。
住民のいのちと財産、権利を守るための公務公共労働は重要です。憲法にもうたわれている「全体の奉仕者」として仕事をするため、公務労働者の雇用の安定性・継続性・専門性が必要です。
公務の市場化は、住民を行政に積極的にかかわる主権者からサービスの消費者へと変えることであり、憲法や地方自治と相容れないものです。
府職労は、大阪版市場化テストに反対し、住民の安全・安心、くらしを守る大阪府政の実現へ全力をあげるものです。