【声明】トップダウンの安易な外部委託では公衆衛生は守れない 新型コロナウイルス感染症の対策に全力尽くすとともに、今こそ、保健所体制の強化、公衆衛生の向上をめざそう

大阪府が公衆衛生の向上に逆行する保健所業務の集約化、外部委託を進める中、府職労は以下のとおり「トップダウンの安易な外部委託では公衆衛生は守れない 新型コロナウイルス感染症の対策に全力尽くすとともに、今こそ、保健所体制の強化、公衆衛生の向上をめざそう」との声明を発表しました。


感染症対応は公衆衛生活動の原点

再び、新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ」という)の発生数が増加しています。

結核をはじめとする感染症対応は、公衆衛生活動の原点であり、あらためてその原点に立ち返り、公衆衛生の向上に向けた国民的な議論と取り組みが重要になっています。

公衆衛生行政の中軸を担う保健所の仕事は、地域住民の疾病の予防、健康増進等、憲法第25条に定められた「健康で文化的な生活する権利」を保障するものであり、地域住民一人一人の生活や健康に根差したものでなければならず、安易に効率化・簡素化して良いものではありません。

不足する保健所のマンパワー

今回のコロナ対応では、電話相談対応・受診調整、検体の搬送、入院、自宅・ホテル療養の調整と患者移送、濃厚接触者や感染が疑われる方への検査と特定、陽性者の体調の確認、会社や学校への対応、陰性確認後の濃厚接触者のフォロー、医療機関や福祉施設等における感染症対策の支援、濃厚接触者や自宅療養者の健康観察と症状悪化時の入院調整・移送、入院患者や宿泊療養者の病状把握、管内医師会との連絡調整等と、その業務は多岐に渡ります。

当初より保健師、保健所職員のマンパワー不足が指摘されていましたが、昼食さえ取れない日々が続き、休日もまともに休めず、時間外勤務が月100時間を超える職員が続出する事態となり、職場からは「もう限界」「いつまで続くのか」という声も寄せられています。

拙速、安易、トップダウンの外部委託では感染症に対応できない

こうした事態を受けて、吉村知事は「保健所の仕事の外出しに力を入れたい」「外注、委託して保健所の負担を減らすのが重要」と発言し、現場の保健師や保健所の意見を聞くこともなく、保健所業務の集約化と外部(民間)委託を強行しました。

具体的には「濃厚接触者フォローアップセンター(CCFC)」を設置し、そこに業務を集約化し、「運営に当たっては外部人材を最大限活用」としています。そして、これまで保健所が実施していた唾液による検査受検調整については「検体容器を郵送する新たな検査調整の導入」とし、保健師による健康観察を「アプリを活用」としています。また、「検疫フォローアップ(帰国者に対する健康観察)」も集約化するとしています。

保健所が濃厚接触者をリスト化し、そのリストをもとにCCFCが検査容器を郵送、濃厚接触者は自ら唾液を容器に入れて保健所に持参、保健所が回収して入力し、その後CCFCがアプリで健康観察するという仕組みです。

正確な検体採取、適切な健康観察に不安の声

これまで保健所で行っていた業務を切り分けて、CCFCを経由することで、本当に業務量が減るのかも疑問がありますし、この方法で検体の正確さが保てるのかという疑問の声も上がっていますし、「陽性」を避けるために「他人の唾液を入れる」「消毒後の唾液を入れる」等のケースが発生されることも危惧されています。

また、アプリによる健康観察では、健康状態等を正しく把握することもできず、感染拡大の防止をはじめ、さまざまな問題を未然に防止することも困難になります。

保健所のマンパワー不足を補うための「外部委託」というものの、その内容は、現場の保健師や保健所職員の意見を聞くこともなく、「保健所業務を外注、委託する」ことが目的となっていると言わざるを得ません。

いま必要なのは外部委託ではなく、保健所体制の強化と公衆衛生の向上

今後も増えると予測される新型感染症に対応するため、今しなければならないことは、その場しのぎの外部委託ではなく、専門職である保健師や保健所職員の意見を十分聴き、行政施策に反映させ、公衆衛生の向上へとつながる保健所の体制と機能強化です。

府職労は、府民の命と健康を守るために、経済最優先から感染予防最優先にかじを切るとともに、コロナ対策の最前線である保健所の早急な人員増と必要な設備等の予算措置を強く求めるとともに、保健所体制の強化、公衆衛生の向上をめざし、全力をあげます。

2020年8月7日 大阪府関係職員労働組合/執行委員長 小松 康則/保健所支部長 野寄 法彦

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大阪府新型コロナウイルス対策本部会議資料より
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