コロナ禍で奮闘する職員・教職員を顧みず、一時金削減を回答 来年4月より会計年度任用職員の賃金水準引上げを回答

 11月22日、総務部長は、府労組連に対し、秋季年末要求にかかる最終回答を行いました。(最終回答要旨と府労組連の態度はニュース裏面に掲載)

最終回答の概要

○一時金:府人事委員会勧告どおり0・15月分引下げ
 ・2021年12月:期末手当0・15月分引下げ12月10日に支給
 ・2022年度以降:6月、12月に支給される月数を0・075月分引下げ

○獣医師の初任給調整手当
 ・支給限度額を月額35,000円とし、採用日から最長15年間支給(2022年4月より)

○会計年度任用職員の給与
 ・「常勤職員の給料表を基礎」とし「職務経験等の要素を考慮」する制度に見直す(2022年4月より)※詳細については協議

○出産・育児等に係る勤務制度の拡充
 ・人事院や人事委員会の意見を踏まえ、今後、国制度の詳細が分かり次第、速やかに検討を進め協議

 今季の闘争は昨年に引き続き、コロナ禍による感染症対策のため、日程や交渉の規模は縮小せざるを得ませんでしたが、通常業務に加え、コロナ対策による長時間労働の実態や人不足の問題、会計年度任用職員の待遇改善など、職場の声にもとづき府当局を追及してきました。
 最終回答では、この間、府労組連が強く要求していた会計年度任用職員の給与について「令和4年4月から『常勤職員の給料表を基礎』とし『職務経験等の要素を考慮』する制度に見直す」との回答がありました。また、獣医師の初任給調整手当について「令和4年4月から支給限度額を月額3万5千円とし、採用の日から最長15年間支給」との回答も示されました。
 しかし、一方では、府人事委員会の勧告にもとづき、一時金(期末手当)の削減を回答しました。コロナ禍の中、府民や子どもたちの命と健康、暮らしと営業を守る最前線で奮闘する職員・教職員に冷や水を浴びせる行為であり、断じて許せるものではありません。府労組連は、一時金削減の回答に抗議し、以下の見解を示すとともに、最終回答での到達点を確認し、いったん交渉を終結します。そして、大阪全体、全国的な労働者の賃金水準の引上げをめざし、2022春闘に向けた取り組みを進めます。

【一】職員・教職員を増やし、業務量に応じた適正な人の配置を

 災害時など緊急事態であっても住民の命と暮らしを守り、子どもたちが安心して学べる環境づくりが必要である。
 私たちは、以前より災害時等であっても十分に対応できる職員・教職員増をはじめ、労働条件の充実を求めてきた。コロナ禍で府民の生活が脅かされ、公共サービスの重要性が高まり、私たちの要求は「当たり前のこと」として府民にも理解されている。府の職場では4月~9月に100時間を超える時間外勤務をした職員がのべ487人となり、職員は命と健康を脅かされている。保健所では夜間の電話対応など、心も体も休まる時間がない状況が1年半以上続いており、健全な働き方ができない職場になっている。
 学校現場も、夏休みがある7月8月でさえ、府立全日制高校でのべ1289人が「過労死ライン」で働いていることが府教委の調査で明らかになっている。そのうえ「教育の穴あき(教員未配置)」が小中学校も含め、府下全域で広がっている。政令市・豊能地区を除く小中学校においては154人も必要な教員が配置されておらず(10月1日時点)、慢性的な人不足の職場が増えている。府の職場も学校職場も命の危険が迫る、待ったなしの緊急事態である。
 「体調が悪くても休めない」「妊娠しても軽減が取れない」など、当たり前の権利すら行使できない状況になっていることを重く受け止め、「健康で働き続けるために」当局の責任で緊急に人を確保するなど、労働条件の改善を強く求める。

【二】賃上げでこそ経済回復できる、職員の生活実態を反映した賃上げを

 最終回答では「一時金引下げ」が示されたが、コロナ禍の中、身を粉にして働いている職員・教職員の勤務実態に全く応えないものであり、断じて許せない。一昨年の月例給引上げ見送りにより、大阪の職員・教職員は、全国や民間より月額約3300円抑制された中で働いている。
 賃上げ勧告の時は「財政難」を理由に引上げを行わず、引下げ勧告の時だけ「人勧尊重」を強調しても全く説得力がない。11月12日、政府は国家公務員の一時金引下げを今冬の実施は見送ることも含め検討していると報道された。岸田首相が経済対策として、民間の賃金引上げを支援する方針を掲げ「民間への影響などコロナ禍の異例の状況で国政全般の観点が必要」と慎重に検討している。この間、労働者の賃金引上げが経済回復につながること、公務の賃金引上げが民間に良い影響を及ぼすことを私たちは繰り返し指摘してきた。にもかかわらず、一時金引下げを回答したことに厳重に抗議する。引き続き、当局の責任で、職員の生活実態を反映した客観・公正な賃金の支給を強く求める。
 私たちが強く要求してきた会計年度任用職員の賃金について、来年4月から「常勤職員の給料表を基礎」とし、「職務経験等の要素を考慮」する制度に見直すとの回答があった。詳細について十分な協議を行うとともに、同一労働、同一賃金の原則に基づき、今後とも、非正規職員・教職員の賃金引上げ、待遇改善に取り組むよう求める。

【三】子育てや介護との両立、安心して休暇の取れる職場づくりを

 出産・育児等にかかる休暇制度の拡充については、回答の中で「人事院の意見の申し出及び人事委員会の意見を踏まえ、今後、国制度の詳細が分かり次第、速やかに検討を進め、協議する」と述べられている。国に遅れることなく速やかに実施できるよう早急な協議を求める。
 他にも、時短ハラスメントの根絶、ハラスメントの未然防止、今年度の人事評価の中止、行政職2級・3級の最高号給滞留の解消、非正規職員・再任用職員の待遇改善、子育て支援・労働安全衛生対策の抜本強化、咲洲庁舎からの撤退など、未解決の問題が多く残されている。これらの問題についても引き続き、検討するよう求める。

【PDF版(約3MB)】

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