府職労2023要求交渉 誰もが安心して働き続けられる職場を

5月18日、府職労は3月17日に提出した「府職労2023年度重点要求書」にもとづく、団体交渉を行いました。限られた時間でしたが、職場のリアルな実態を伝え、改善を求めました。

低すぎる非常勤職員の賃金引上げを

賃金要求については、安すぎる会計年度任用職員の賃金等について、職場の実態や当事者である非常勤職員の声も合わせて伝え、低すぎる賃金水準を大幅に引上げるとともに、一時金(ボーナス)の支給や諸手当、休暇制度や福利厚生などについても常勤職員と同じ待遇に改善するよう求めました。
これに対し府当局は「総務省が示している基本マニュアルにもとづき初任給基準額を上限としている。その他の手当を支給することは地方公務員法の規定から現状は困難」と答えるにとどまりましたが、大阪府に長年働いている職員の実態を直視し、前向きに検討するよう求めました。
なお、勤勉手当については、「地方公務員法一部改正により令和6年4月1日から支給可能となることを踏まえ取り扱いを検討したい」と答えました。

「百害あって一利なし」相対評価は中止・見直しを

人事評価制度については、引き続き相対評価の中止を強く求めました。必ず誰かを下位評価にしなければならないという相対評価では、子育てや介護をしていたり、疾患のある職員が、それを理由に不当にも評価を下げられている実態があることを指摘しました。
これに対し、府当局は「職員基本条例で相対評価の分布割合等が定められているため、絶対評価がBであっても、第4・第5区分に位置付けられるという職員が一定数いる。相対評価に対して否定的な意見があるのは承知している。より良い制度となるように取り組んでいきたい」と答えました。
府職労は、相対評価のもとで苦しんだり、傷ついている職員が多数いることを踏まえ、抜本的な見直しを求めました。

再任用職員は2級以上の水準にすべき

再任用職員の賃金については、他府県に比べて低い水準に据え置かれている点や定年引上げ後の職員との賃金格差の問題も合わせて追及し、再任用職員の賃金をせめて2級以上にするように追及しました。
これに対し、当局は「現時点では困難」と答えるのみでしたが、国や他府県との差が大きいという実態も踏まえて、前向きに検討するよう求めました。 

長時間労働の解消、職員の健康回復のための取り組みを

この間の深刻な長時間労働の実態について指摘し、「100時間を超えるような時間外勤務はあってはならない」と言いながら、なぜ、この事態を放置したのかと迫りました。
また、コロナ禍の中で、相当な労働強化による負担を強いてきた結果、体調不良や心の病、家族との問題など、苦しんでいる職員が多数いることを伝え、府当局の責任でリカバリーに努めるべきだと追及しました。
これに対し、府当局は「いまだに月100時間超えの職員が複数いるという状況は認識している。いろんな問題が複雑に絡み合って時間外勤務が発生していると思っている。引き続き時間外勤務縮減の取り組みを進めていきたい」と答えました。
府職労は、時間外勤務にはさまざまな理由があることは否定しないが、どんな理由があったにせよ、月100時間を超えるようなことはあってはならないということをあらためて確認し、根本的には人が足りていないことが大きな問題であると指摘しました。
府職労が2月に実施したアンケートで、職員の4割が「時間外勤務手当を申請していない」と答えていることについて、あらためて「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日 厚生労働省)」の周知・徹底を求めました。
これに対して、府当局は「府職労のアンケート結果は承知している。働き方改革責任者会議等においても厚労省のガイドラインも踏まえて適切な対応を行うように周知している」と答えました。
また、職場環境改善については、冷暖房の運転期間の拡充(気温に応じた柔軟な運転)や出先職場も含めた建物ごとの休養室の設置と周知、職場単位に冷蔵庫と電子レンジの設置なども強く求めました。

子育てや介護と両立し、働き続けることのできる体制を子どもが不登校になったときに安心して休める制度を

休暇制度等に関する要求については「働き方改革」や「イクボス宣言」など、かけ声だけではなく、必要な人員増や業務量の見直し、代替職員の配置などが必要であることを強調しました。
また、コロナ禍の影響もあり、最近は子どもが不登校になったというケースも多くなっています。しかし、現状はそうしたことに対応する休暇制度がないため、「このままでは働き続けられない」という事態が起きています。
当事者の切実な声(左の囲み参照)も伝え、職員が退職に追い込まれることなく働き続けられるよう新たな休暇制度の創設を求めるとともに、現行の介護休暇等の休暇を柔軟に運用し、安心して休暇が取得できる制度改善を求めました。
これに対し、府当局は「子どもの不登校そのものを対象とする休暇制度との要求に応えるのは現時点では困難」と答え、「テレワークやフレックスタイム制度などの活用も含めて対応していただきたい」と答えました。

労働組合に加入し声をあげよう

交渉の最後に小松委員長は「職員が安心して働き続けられる職場にしたいというのが私たちの思い。前進的な回答は得られなかったが、あらためて夏季要求交渉の中でも求めていく」と述べました。
府職労は職場の声、当事者の声を何よりも大切にして、職員が安心して働き続けられる職場をめざし取り組みます。そのためにもみんなの力が必要です。ぜひ、みなさんの府職労への加入をよろしくお願いします。

 

労働組合加入はこちらから▼

https://www.fusyokuro.gr.jp/participation

 
 

交渉での当事者の発言

子どもや家族も大切にできる職場環境を

子どもが小学1年生のとき学校への行き渋りが始まり、夏休みまでは登校の付き添いをしたり、保健室の先生につないだりして対応してきましたが、2学期を前に登校拒否が悪化し、完全に行けなくなりました。それまでは私の母に面倒を見てもらっていたのですが、朝、私が家を出る時間になると「いかないで!そばにいて!」としがみついてくるようになりました。トイレに行くのも食事をするのも見守っていないと情緒不安定になるため、子どもと離れられない生活が始まりました。
職場に迷惑をかけるとわかっていても、身動きがとれず、なぜこんなことになったのか、私のかかわり方が間違っていたのかと自問自答する毎日でした。目の前が真っ暗になるような感覚で、混乱してしまい、泣きじゃくる子どもを教室に放り込んだこともありましたが、これでは子どもの心が壊れてしまうと思い、休むことになりました。退職も頭をよぎりましたが、職場の上司や同僚の協力もあり、何とか今日まで働くことができました。
コロナ禍の3年3か月、長時間過重労働によって、追い詰められた職員や子どもは大勢います。子育て中の職員から「このままでは家庭崩壊する」「子どもが登校を渋っている」「別室登校している」など、たくさんの声を聴いてきました。学校が休校になっても、保健所などでコロナ対応をしている職員が休むという選択肢はありませんでした。
住民のためにみんな踏ん張っているのだからと、子どもをほったらかしにして働いてきたと思います。ある職員は「子どもが不登校になるまで気づいてやれなかった」「私の余裕のなさが子どもを追い込んでしまった」と自分を責めています。
アメリカの多くの州では小学生以下の子どもの留守番はネグレクト(育児放棄)として、法律で罰せられるそうです。科学的にも子どもの脳に影響を与えることもわかっています。学校へ行けない、一人で家にいる子どもを残して、どうして出勤できるでしょうか。
全国の小学生の不登校は年々増え続けています。不登校は、それ自体が病気ではありませんが、学校への不適応を起こして、居場所を失い、情緒不安定になることは大いにあります。日常生活が通常通り、送れなくなることもよくあります。心が回復するまでにかなりの時間がかかります。数年単位で、子どもが元気になるのを見守り、学校またはそれに代わる居場所をみつけるため、親も相当の時間とエネルギーを使います。
仕事と子育ての両立のためには、普段から職場に人の余裕をもたせ、子どもと過ごせる時間を増やすこと、いざ不登校になった場合には、長期間、断続的に使える休暇制度が必要です。ひとり親で家族のサポートが受けられない職員も働き続けられる制度を充実してほしいです。これ以上、大阪府の職員を退職に追い込まないでください。子どもを大事にできる職場環境を作ってください。

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