It’s Union Timeー今こそ労働組合ー 2022春闘学習会(オンライン)を開催

1月22日、「2022春闘学習会」をオンラインで開催しました。53人が参加しました。全労連事務局長の黒澤幸一さんを講師に招き、「わたしたちの仕事・くらしと春闘」をテーマにしたわかりやすい講義を聞き、その後、オンライン上で小グループにわかれて感想を交流しました。
講義の初めに黒澤さん自身が「なぜ労働組合活動を続けているのか」について、自分自身の経験を語り、黒澤さんの熱い想いが参加者に伝わりました。

講演する全労連 黒澤幸一事務局長

賃金が下がり続けているのは日本だけ

グラフ①

講義では、世界的に賃金が上がっていく中、日本だけが下がっている現状をわかりやすいグラフも示しながら紹介しました。例えば、OECD(※1)加盟国との比較では、1997年の実質賃金(※2)指数を100とした場合、2020年に日本は88.9と下がり続けているのに対し、他国では賃金は上がり続けています。中でも韓国は2020年には1.5倍以上も実質賃金が上がっています(グラフ①)。
また、非正規労働者や低賃金で働く正社員が増え、最低賃金に近い賃金で働く人の割合が年々増え、この10年で倍増している実態も示されました。日本だけが賃金を上げていないことがよくわかりました。
「なぜ、このような状況が続いているのか」「日本の労働者の賃金は、なぜ上がらないのか」と、黒澤さんから質問が投げかけられると、参加者からは「企業のもうけや株主の利益が優先されているのでは?」「労働者が分断されているから?」「どうやって上げたら良いかわかっていないから?」などの声が寄せられました。
かつては、春闘期に労働組合と地域住民が力を合わせ、賃上げやさまざまな制度改善を勝ち取ってきました。しかし、財界や大企業、政府の側も攻撃を強め、公共サービスや社会保障の破壊、民営化を進めてきました。さらには正規の労働者を非正規やフリーランス(※3)への置き換えを進め、声をあげられない労働者を増やすことで春闘破壊を進めてきました。

※1 経済協力開発機構の略称。38か国が加盟。
※2 労働者が賃金として受け取る貨幣額を名目賃金といい、それで購入できる消費物資とサービスの量を実質賃金という。名目賃金が上昇しても、これを上回る物価上昇があれば実質賃金は低下するように、労働者の生活実態を把握するために重要な概念となっている。
※3 個人で仕事を請け負う働き方。求められる技術やコンテンツを契約ごとに提供し、その対価としての報酬を受け取るという契約形態。労働者として扱われないため、労働法制が適用されない。

労働組合の力が弱まれば状況は悪くなる

労働者が声をあげなければ賃金は下がる、労働力を「安売り」せずに労使の力関係で労働者の賃金を決めていくことが大切ということがよくわかりました。
そのためには、労働者が声をあげていくことが重要で、社会的な賃金闘争も必要になります。社会的な賃金闘争というのは、政策によって賃金が上がる仕組みを制度的に実現する、社会的な取り組みを広げていくということです。
社会的な賃金闘争を広げながら、現場の声を集めて使用者へと伝える団体交渉等で労働組合の存在・必要性を知らせ、みんなで声をあげながら賃上げをめざしていくことが重要です。
黒澤さんが示した「労働組合の組織率」と「賃上げ額」「非正規率」のグラフは参加者に衝撃を与えました(グラフ②)。「声をあげる大切さ」が裏付けされるものでした。1990年には春闘期に約1万5千円以上の賃上げを勝ち取っています。当時の労働組合の組織率は25%以上ありました。

グラフ②

しかし、2021年には労働組合の組織率は17%にまで下がり、賃上げ額は3分の1の約5千円にまで低下し、逆に非正規率は約40%まで増えています。
こうした状況を変えるためには、やはり労働者が声をあげ、労働組合を強くすることが大切で、社会全体の賃金引き上げにも関係していることが良く分かります。
非正規労働者の問題では、男性の場合は若い世代と高齢者の割合が高いのに対して、女性は、全世代で非正規の割合が高く約6割の女性が安い賃金で働かされている現状も説明がありました。

また、最低賃金の問題にも触れ、OECD主要国の最低賃金の比較で、日本は最低水準となっている実態も説明がありました。
加えて、他国では最低賃金は全国一律となっているのに対し、日本では都道府県ごとに最低賃金を決め、地域間格差も大きな問題となっています。
しかし、この間、全国で取り組まれている最低生計費調査によると、生活に必要な金額は全国どこでも同じであることが明らかになっています。

 

グラフ③

全労連の「誰でもどこでも全国一律1500円」を実現するためのアクションについても説明があり、法改正を求め、最賃学習ビデオ(15分)をYouTube配信や職場の声を集める取り組みなどが紹介されました。
最低賃金は毎年見直されていますが過去20年の推移を見ると、数円ずつ引上げはされているものの、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2020年の新型コロナウイルス感染拡大など経済的ショックがあると、日本は最賃を上げずに困難を乗り切ろうとしていることが明らかです(グラフ③)。
コロナ禍の中でも、ドイツは25%UPで1550円、イギリスは6.6%UPで1487円、アメリカは30%UPで1600円へと最低賃金を引き上げています。いかに日本が遅れているかがよくわかります。

保健所や感染症病床を減らしてきた政治の責任も重大

グラフ④

講義では、労働者の問題と合わせて、この30年間で医療や公衆衛生、公共サービスが削減されてきた実態も示されました。保健所は約半分まで減らされ感染症病床はさらに削減されており(グラフ④)、現在のコロナ禍による保健所や医療のひっ迫は、政治の責任であるとの指摘もありました。あらためて公衆衛生や医療、社会保障の強化の重要性も学ぶことができました。
講演の最後には、黒澤さんが大切にしている「It's Union Time(今こそ労働組合)」という言葉も紹介され、この春闘の取り組みを通じて、みんなで声をあげ、今こそ労働組合の力を高めようとの力強い呼びかけがありました。 
講義を聞いた後は3~4人のブレイクアウトルームに分かれて感想を交流し、その後、全体で共有しました。「わかりやすい講義だった」「声を上げる大切さが伝わってきた」「組合員を増やしたい」などの声が共有されました。

感想の抜粋

・グラフなど資料がわかりやすかった。仲間を増やさないといけないんだと思いました。

・賃金を上げることに労働者や労働組合が声を上げることが重要ということが改めて理解できました。エッセンシャルワーカーの賃金や最低賃金など、問題点がまとまっており、わかりやすかったです。本日得た情報を職場に戻ってみなさんと共有しようと思います。 

・まず初めに黒澤さん自身の話があり、共感できて話を聞きたいと感じた。講演の内容も前のめりで聞いていたのでとってもわかりやすかったし、学びになりました。

・組合の組織率の低下とともに賃金が上がってないのがよくわかり、要求実現と組織拡大は車の両輪というのがよくわかりました。

・労働組合が大切であること、声をあげることは間違いではないと自信が持てました。職場が落ち着けば、みなさんに伝えたいです。オンラインでの開催はほんまにありがたいです。

・最低賃金、賃金アップなどの要求実現のためには、やはり組合がパワーアップして力をつけないとダメだと実感しました。声をあげることの大事さを感じました。

・共感できる内容で、お話の仕方、スピードもとてもよくて、全集中して聴講できました。私のいる職場では、加入率が30%なので、まずは組合員に対して、今日、聴いたお話を私の声で伝えたいととても強く思いました。

・組合の組織率の低下が賃金アップ、働く環境改善を抑制する!「声をあげないと状況は変わらない!」微力ながら「行動を起こさなければ」と力をもらいました。 

・元気いただきました。とてもわかりやすく、聞くだけの講演でなく全員参加している感がよかったです。忙しく考える余裕がないという仲間に、どうアクションを行うかが課題ですが、いろんなことを共有することは大事だなとあらためて強く感じました。

 

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