府労組連夏季要求書交渉 課長交渉速報

府労組連、課長との団体交渉を実施 職場の実態を持ち寄り、要求実現を求める

 6月10日、府労組連(大教組・府職労)は「2025年夏季要求書」にもとづき団体交渉を行い、職場を代表して25人が参加しました。交渉では企画厚生課長より回答が示されましたが、私たちの切実な要求に全く応えないものでした。府労組連は、職場の声にもとづいて追及し、回答の再検討を求めました。府労組連は、引き続き事務折衝を重ね、6月20日には職員長との団体交渉を行います。

大阪府として独自に努力せよ 職員増は緊急の課題

 交渉の冒頭、府労組連は、お互いに労使関係を尊重することを確認したうえで、「国でも自治体でも深刻な職員・教職員不足が続き、国も他自治体も人を確保するためにさまざまな努力をしている。大阪府が『国準拠』『国以上のことはできない』という姿勢に固執することは人の確保に悪影響を及ぼしている」と指摘し、国の制度等を理由にして要求を退けるのではなく、どうすれば実現できるのかを前向きに検討するよう求めました。

全ての職員の賃上げを

 賃金引上げについては、物価高騰を上回る大幅な賃金引上げ、とりわけ中堅・ベテラン職員の賃金引上げを重視することや再任用職員の賃金水準を職場実態に見合ったものとなるよう大幅に引上げるよう求めました。
また、常勤の非正規教員の賃金についても、正規教員と同じ教育職給料表2級を適用するよう求めました。
知事部局では通勤手当について、実際の通勤経路で支給されない問題について追及し、直ちに見直すよう求めました。「働き方改革」として、フレックスタイム、在宅勤務、時差通勤などが実施されているが、通勤の負担軽減こそ必要であり、直ちに決断するよう求めました。

オンコール手当支給、水防呼出時から手当支給せよ

 夜間・休日の緊急電話対応に対するオンコール手当(待機に対する手当)や水防等の勤務時間外の災害等対応に従事する職員に対し、出勤を命じた時点からの時間外勤務手当の支給については、「これまでの交渉で何度も実態を伝えている。実態を承知しながら対応しないのは問題である」と指摘し、あらためて実態を紹介しました。

○保健所職員の声
公用スマホを持ち帰っているときは、トイレ、入浴、買い物、掃除機かけの時も、ずっとスマホを携帯している。以前、出られなかったことについて上司から怒られたこともあり、常に緊張している。夜中でも出られるよう音量を上げて枕元に置いておくようにと上司から言われたこともある。小さな子どものいる職員も同じような対応を強いられている。
スマホで対応した場合は、対応時間、記録時間のみを分単位で時間外勤務が認められるが、上司に「記録にこんな時間かからないのでは?」と言われた人もいる。何年もの間、5月の連休も年末年始も、どこにも出かけられない。
○土木事務所職員の声
水防の呼出しがあればすぐ出勤し業務につくが、職場に着くまで時間外勤務手当はつかない。夜間・休日に自分の時間を削って対応しているのに手当がないのはおかしいと思う。府民を災害から守るために夜間・休日を問わず働く職員のことをどう考えているのか。
水防が発令されればすぐに事務所に向かうのが当たり前だが、事務所に着く前に水防が解除される「空振り」が増えれば、水防業務に対する意識も薄れていくのではないか。職員は誇りをもって業務を遂行しているが、手当もないのであれば「解除になるかもしれないから様子をみよう」と、職員の防災意識が薄れていくことも危惧される。
府労組連はあらためて「この実態を知りながら放置する責任は重大であり、極めて無責任である」と追及し、検討を迫りました。

「昼休憩取らせてない」「時間外のLI NEやメール」は労基法違反

 交渉では、少なくない職員から「休憩時間が完全に取れていない」という声が寄せられていることも紹介し、あらためて「45分の休憩時間を与えないことは労基法違反である」との認識を確認しました。
また、勤務時間外にグループLINEやメールで上司が仕事の話をするというケースについても指摘し、「緊急時等を除いては、勤務時間外にすべきではない」「勤務時間外に対応させるのであれば時間外勤務手当を支給」ということも確認し、「法令違反状態」が見て見ぬふりをされていることについて、周知の徹底や適切な指導を行うよう求めました。

業務量に見合った人の配置を

 時間外勤務の問題については、さまざまな対策を行っても実態が改善されていない事実を踏まえ、「改善できないのは根本原因である人不足に対策を講じていないからだと言わざるを得ない」と指摘し、あらためて職員増の必要性を訴えました。
 また、欠員の多発が時間外勤務を助長していることにも触れ、「産育休、男性の育休、フレックス、在宅勤務など、『働き方改革』として制度ばかりが先行しているが、それを支える体制が放置されたまま。まさに絵にかいた餅になる。欠員補充の努力をせよ」と求めました。

正規教員を増やし、「穴あき」を解消せよ

 職員の異常な長時間・過密労働の解消については、今年度も小学校43人、中学校20人の「穴あき」でスタートしている実態を示し、具体的な対策を求めました。
また、「穴あき」が長時間労働の大きな原因ともなっていることを指摘し、正規教員を増やし、定数内の非正規教員を減らすことが抜本的な対策であると追及しました。
府立高校における長時間労働削減について「働き方改革」に関する目標設定を必須にすることにも触れ、「時短ハラスメント」とならないよう周知を求め「そういうことはあってはならない」との認識を確認しました。
また、「教員の負担軽減のため」実施されているICT活用においても、混乱が生じ、業務負担が増加している点も追及し、改善を求めました。
○支援学校教員の声
支援学校の教員不足は深刻。「昨年度とクラスの子どもの数は同じなのに教員を一人減らさざるを得ない」「安全確保で精いっぱい」「授業の持ち時間数が増えた」という状況があちこちの学校で聞かれる。
支援学校の子どもたちは9時に登校、15時に下校するが、子どもたちがいる時間はトイレに行く余裕もなく、体調が悪くても休めないという過密労働になっている。欠員が生じればさらに過酷な状況になり、授業準備などをする空き時間も授業が入る。子どもの下校後は会議や打ち合わせ、その後に翌日の授業準備もしなければならず、休憩時間も取れず、長時間労働になるのは当然だ。多くの教員が持ち帰り残業や早朝出勤をして対応している。
このような実態を解消するため、直ちに教職員を増やし、支援学校を適正規模にし、代替講師の確保など抜本的な欠員対策を行うべき。

特別休暇の創設・拡充を

 休暇等の制度拡充については、職員・教職員から寄せられる要求にもとづき、▼子の看護等休暇のさらなる要件と日数の拡大、▼不登校の子や障がいのある子を養育する職員が取得できる休暇の創設、▼家族休暇、リフレッシュ休暇、保育特別休暇の復活、▼中高齢の職員が更年期障がい(疑いを含む)の場合に取得できる休暇の創設などを求めました。
 とりわけ、育児介護休業法の「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」が見直されたことに触れ、不登校の子や障がいのある子を養育する職員が、短期介護休暇や介護休暇、介護時間等を取得できるよう強く求めました。
府当局は「国に準じた取扱い」との回答を繰り返すのみであったため、府労組連は「細部の取扱いや運用まで国の制度にとらわれる必要はない。大阪は不登校も全国一多いと言われている。育児介護休業法は、事業主は『柔軟に運用することが望ましい』と書いてある。使用者の判断として実施せよ」と迫りました

非常勤職員の賃上げ、病気休暇の有給化を

 非常勤職員の労働条件については、報酬単価が安すぎるため、募集しても人が来ないという問題を指摘し、「深刻な人不足や欠員の多発に対し、『非常勤で対応』と言うのであれば、人が確保できるように単価を引上げるべきではないのか」と追及しました。
 また、上限3年ルールの廃止、特別休暇の有給化についても強く求めました。とりわけ病気休暇については国が有給化(10日)しているもと、直ちに実施するよう求めました。
○子ども家庭センター非常勤職員の声
子ども家庭センターの一時保護所では、夜勤のときの休憩時間が適切に取れないため、人員増が必要。私の勤務する一時保護所では、非常勤職員を日中、夜間ともに配置しているが、確保できず、夜間3人の非常勤が必要だが、2人しか確保できないという日が6月は半分ある。
非常勤を募集しても集まらない理由の一つは賃金が安すぎること。専門職は何年勤務しても昇給がない。昇給がある一般非常勤も低い水準で頭打ち。継続して働いている非常勤は、新人のOJTもこなし、業務によっては正規職員より知っているといったこともある。昇給もなく、生活に展望が見えず、辞めざるを得なくなる人もたくさんいる。
非常勤を配置してギリギリの体制なのに、それさえ欠員となっている。非常勤の採用にもきちんと責任を持ってほしい。賃金の大幅アップや、休暇制度等の拡充が必要だ。

非常勤講師にも一時金支給を

 非常勤講師の一時金支給率が低い(1割未満)の問題については、支給対象を大幅に増やすよう対策を求めました。府労組連は「非常勤講師も正規教員と同じように授業をし、授業準備にも当然時間を要している。文科省の学習指導要領と総務省マニュアルがそもそも矛盾しており、その制度の矛盾によって一時金が支給されないというのは納得できない。非常勤講師の確保が困難な状況の中、他府県ではさまざまな努力もしている」と、引き続き努力するよう求めました。

休憩室設置、トイレ洋式化、机・椅子更新など働きやすい職場環境を

 職場環境の改善、労働安全衛生対策については、全ての職場に休憩室を設置することや昼休み時間帯の庁内放送と消灯の廃止を求めました。
昼休み消灯については「仕事をしている職員がいる場合、照度を確保するのは当然必要である」との認識を確認し、周知徹底を求めました。
また、未だに机や椅子が「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」にもとづくものになっていないことを指摘し、直ちに更新するよう求めました。
トイレの問題については、全ての職場・学校のトイレを洋式化し、臭気管理(常時換気等)や衛生管理、温水洗浄便座・擬音発生装置・便座除菌クリーナーの設置、女性用トイレに衛生用ナプキンの常備などを求めました。

健康管理、メンタルヘルス対策の強化を

 職員・教職員の健康管理については、人間ドックの助成や対象の拡大、メンタルヘルス対策の抜本的強化と事前防止、職場復帰に向けた必要な対策などを求めました。
とりわけ、休職者の試し出勤(リハビリ出勤)について、通勤のための交通費が大きな負担となっている実態を示し、負担軽減となる対策を求めました。

相対評価、評価・育成システムの中止を

 評価制度については、当初の目的を逸脱し、職員の意欲を低下させ、ハラスメントや不払い残業(サービス残業)のまん延を助長していることを指摘し、廃止・撤回すべきであると主張し、評価結果にもとづく賃金反映(扶養手当の算出基礎からの除外)の撤回を求めました。
また、今年度の相対評価結果の検証については「今年度も職員アンケートや検証は実施する」との回答がありました。
評価・育成システムについては、昨年度、教職員アンケートを実施したが、今後も教職員の声を踏まえ、定期的に実施・検証するよう求めました。
最後に、老朽化した庁舎(事務所)や学校施設などの耐震化や補修、アスベスト除去対策について、本庁や府民センター、出先職場(学校も含む)の老朽化が深刻な問題になっており、休憩室スペース、トイレ洋式化、空調設備など、あらゆる労働条件悪化の原因となっていることを指摘し、咲洲庁舎からの撤退、新庁舎の建替えについて言及し、労働条件の改善を求めました。

職場実態を直視し、責任をもって回答せよ

 交渉の最後に府労組連の北川委員長は「回答は要求に全く答えてない」と指摘し、「交渉を通じて、さまざまな現場の深刻な実態が明らかになったにもかかわらず、その実態から目をそらし、『国の制度や総務省のマニュアル』などを理由に、要求に答えないことは、使用者として無責任な対応と言わざるを得ない」と厳しく追及し、あらためて再検討するよう求めました。
府労組連は、引き続き要求実現をめざし、取り組みを進めます。6月20日には、職員長との団体交渉も行う予定です。みなさんの声を団体交渉にお寄せください。

【PDF版(約970KB)】

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